なかなか子供を授からない…。
そう思い始めた時から「不妊治療 とは」「不妊治療 何する」といった単語で色々と調べ始めましたが、
何を調べれば良いか分からず、行く当てもなく時間を費やしていました。
不妊治療と言っても様々な方法があり、
「体に負担のかからない自然周期の治療法」「薬を多く使う刺激周期の治療法」など、
ホルモンの状態や卵巣年齢によって治療法が変わります。
病院で先生に相談する際に、ある程度の不妊治療の基礎知識があった方がスムーズに判断できます。
不妊治療の基本と大まかな治療の流れを理解することをお勧めします。
そもそも、不妊治療とは?
不妊治療の説明をする前に「不妊」の定義を説明します。
日本産科婦人科学会では、
「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態」
と定義しています。
その上で、不妊治療とは、
不妊の状態にある夫婦が「妊娠を希望し医学的治療を必要とする」が定義です。
それでは、「医学的治療」とは何のことか?
具体的な治療内容は検査を受けてから決まっていく流れですが、
「不妊原因が明らかである不妊症」と「不妊原因が不明な不妊症」によって治療内容は異なりますが、
治療法ごとの大まかな概要をまとめていきます。
不妊治療の大まかなステップ
妊活のために病院へ通うと、いよいよ治療が始まります。
まずは「タイミング法」からスタートしますが、それで妊娠しなければ「人工授精」に進むことが多く、
場合によっては、お医者さんから「体外受精」や「顕微授精」をすすめられることもあります。
基本的には、不妊原因に即した治療を行うのが原則ですが、
身体的/経済的に負担の少ない治療方法から選択していきます。
では、いったい何が違うのか?具体的にどんなことをするのか?
治療法ごとに大まかな特徴を解説していきます。
STEP1:不妊原因の検査
不妊治療の最初のステップとして、まず不妊原因を調べます。
不妊症の原因の約半数は男性にもあるので、女性だけでなく、男性も検査を受けることが大切です。
検査方法は、女性と男性で異なります。
女性は、「基礎体温や血液中のホルモン値の測定」「超音波検査」「子宮卵管造影」などの検査を行います。
男性は、精液を採取して精子濃度、運動率、奇形率などをチェックする「精液検査」を行います。
不妊検査は女性の生理周期に合わせて計画を組み立てる必要があるため、検査に1~2ヶ月かかることもあります。
人気の病院では予約が取りにくいこともあるので、相談だけでも早めに行うことをおすすめします。
STEP2:タイミング法・排卵誘発法
「タイミング法」について
・「人工授精」や「体外受精」でなくても妊娠可能性があると判断された
・不妊原因が分からない
といった場合に選択されるのが「タイミング法」で、
なるべく自然妊娠に近い形での妊娠を目指す治療法です。
「タイミング法」とは基礎体温などにより排卵日を予想し、夫婦関係をもつことです。
病院では「頚管粘液(おりもの)チェック」や「卵胞の大きさ」などから、タイミングの指示を受けます。
病院からのタイミング指示ではなく、
自分で基礎体温や排卵日検査薬などで、タイミングを合わせる方もいますが、
「粘液(おりもの)の状態」「卵胞の大きさ」「血中ホルモン値」など、
総合的に病院で診てもらった方が確率は高くなると思います。
「排卵誘発法」について
黄体機能不全や、卵管の状態などにより、排卵が起こらなかったり排卵の状態がよくない場合、
排卵を誘発する「排卵誘発剤」という薬を使い排卵を起こさせる方法を「排卵誘発法」と言います。
排卵を促す薬は「飲み薬」と「注射」があります。
飲み薬はクロミッドと呼ばれる錠剤が主流で、生理5日目から5日間程度服用します。
初めて排卵誘発する場合はこれから始める場合が多いようです。
注射の場合はクロミッドよりも強い薬が多く、
生理5~7日目頃から一日おきくらいにHMG(卵胞を大きくする注射)を打ち、
その後HCG(排卵を促す注射)を打つのが一般的です。
まれに卵巣が腫れたり(OHSS)三つ子や四つ子など多胎妊娠がおこることがあるようです。
STEP3:人工授精
「人工授精」について
タイミング法などで妊娠できなかった場合に、
人工的に子宮内に精子を注入する「人工授精」が次の治療ステップです。
人工授精とは、男性の精子を採取し、直接子宮内に精子を送り届ける方法です。
頚管粘液(おりもの)の状態がよくなく、子宮の中にうまく精子をとりこめない方や、
勃起不全や射精障害など、男性側に不妊原因がある場合にも行われます。
タイミング法と同じく、きちんと排卵日を予測し精子を注入しないと効果はありません。
精液を採取したら、そのなかから元気な精子だけを取り出し、排卵に近いタイミングで子宮に注入します。
痛みも少なく、数分間安静にしたら普段通りの生活が可能な治療法です。
妊娠する確率は10%程度と言われており、
痛みも少なく費用もあまりかかりません(1万円前後)が、
回数を重ねる度に妊娠の確率は低下するため、
10回以内を目安に次のステップ(体外授精)を検討します。
STEP4:体外受精・顕微授精
「体外受精・顕微授精」について
人工授精で妊娠できない場合や何かしらの病気が原因で不妊症になっている場合は、
体外で精子と卵子を受精させてから子宮に戻す「体外受精・顕微授精」を検討します。
体外受精は、女性から卵子を、男性から精子を取り出して体外で受精させ、
培養した受精卵を子宮に戻すことで妊娠率を高める治療法で、
ほとんどの不妊原因に対して有効といわれています。
「体外受精」では、精子およそ10万匹と卵子1個をかけあわせます。
「顕微受精」では、1匹の精子を1個の卵子につきさして受精させます。
費用は約20~100万円と他の治療方法と比べても高額で、
受精卵をどれくらい培養するか、顕微受精をするかしないかなど、
金額の変動要素が多い治療法でもあります。
不妊治療は早期開始が効果的
一口に不妊治療と言っても、
様々な治療方法がありますし、不妊要因によって治療方法は異なります。
不妊治療に不安を感じ、治療を先延ばしにしてしまっている人もいるかもしれませんが、
日本でも段々と不妊治療に対する認知が広がってきていますし、
年齢が若いうちから治療を行ったほうが妊娠可能性も高くなるので、
夫婦で話し合いながら、できるだけ早めに取り組めるといいですね。